北会津の昔ばなしと伝説 -000-06/238page

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発刊にあたって

教育長 中山 雄助

 ここにようやくわが村待望の昔話をまとめ上げることができ、次代へ伝える義務が果たせることに喜びを感じています。

 テレビの普及と共に、子どもに語り、聞かせることが滅法少なくなりました。

 私の子どもの頃は、布団の中に入り寝物語として毎晩母親に聞かされたものでした。

 いつも変わらない「昔々あるところに……」そのうち子どもの成長と共に、子どもから「昔々とは何年前のことか」 「あるところとはどこか」など、その頃になると親も困ったようで、「黙って聞かないと話してやらない。」など叱られたことが懐かしく思い出されます。子どもを寝かせているうちに、親が同じことを何度も繰り返してはとうとう先に寝入ってしまうこともありました。

 母を中心に一つの布団にもぐり毎晩昔々の話を聞けた古きよき時代は、今は遠き昔となってしまったようです。

 今はヨチヨチ歩きの子どもでさえテレビのスイッチを入れ、映像を通して耳と目から、それもカラーで楽しめる便利な時代になりました。母親からの寝物語からは、次は次はと創造性がみられましたが、テレビの昔話からは、楽しみいっぱいで終わってしまい、あとに残るものが少ないように感じます。

 ここに集めた55話の昔話や伝説は、遠く昔から、じい、ばあが幾度となく語り、伝えてきたものであり、貴重な文化遺産でもあり、活字を通して創造性を豊かにしていただきたい。

 子どもたちが仕事の妨げにならないように子守をしながら語り聞かせたものもあり、価値の高いものが多いことは失ってはならないものであります。

 子どもたちに喜んでいただけるように、挿絵を多く施しましたので、ぜひ、広く読んでいただくことを望んでいます。

 最後に、全般にわたって指導と執筆をいただきました昔話編さん委員会委員の方々に深く感謝の意を表します。

平成14年3月

北会津村教育委員会
教育長 中山 雄助


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