北会津の昔ばなしと伝説 -001/238page
1 旅人(たびびと)のおっかねえ一晩(ひとばん) むかし、むかし、あっただど。 ある日の夕方、一人の旅人が、ある山の中の一軒屋に来て、 「旅のものだげんじょ、暗くなって灯(あ)かりも持(も)たず、泊まるところもねえので、今夜一晩(ひとばん)だけ泊めていただげねえがい。」 と頼んだだど。そのおやじさんは、 「こんなむさ苦しい処(ところ)でよかったら、どうぞ。」 と言ってくれたのでその旅人は泊めてもらうこ
むかし、むかし、あっただど。
ある日の夕方、一人の旅人が、ある山の中の一軒屋に来て、
「旅のものだげんじょ、暗くなって灯(あ)かりも持(も)たず、泊まるところもねえので、今夜一晩(ひとばん)だけ泊めていただげねえがい。」
と頼んだだど。そのおやじさんは、
「こんなむさ苦しい処(ところ)でよかったら、どうぞ。」
と言ってくれたのでその旅人は泊めてもらうこ