北会津の昔ばなしと伝説 -015/238page
4 なかっつぁまいなり(中島稲荷)とタケノお婆(ばあ)さん
昔、蟹川(かにがわ)にこんな話があったど。
ほら、あそこの、なかっつぁま稲荷[中島稲荷]な、昔は蟹川(かにがわ)橋の南の方の大川の中にあっただど。
昔、大川はな、大雨降っと、あっちこっちと、川の流れが変わって流れが決まっていたわけではながったそうだ。川幅(かわはば)の狭(せま)いどこは、板(いた)を渡して渡っていただし、広いどこは、舟で渡っていただど。
今の橋の南の方には、なかっつぁまの杜(やしろ)があったし、北の方には、広い梨畑(なしばたけ)があったど。
なかっつぁまの森には、立派(りっぱ)なお社(やしろ)があって、お稲荷様(いなりさま)が祀(まつ)られていたど。「なかっつぁま稲荷(いなり)だ」。