北会津の昔ばなしと伝説 -044/238page
14 思(おも)い堀(ぼり)(1)
むかし、むかし、三郎太(さぶろうた)という若者が住んでいたんだど。
三郎太(さぶろうた)は、いつも川や沼で鯉(こい)・鮒(ふな)・なまず・どじょう等(など)を取っては、町に売りに行っていたんだど。三郎太(さぶろうた)は、(注1)おがやと2人暮らしで、親孝行な評判息子だっただど。
そんな三郎太(さぶろうた)に隣村(となりむら)のきれいな「お咲(さき)」という娘が、ほのかに思いをよせていたんだど。そんなことは、露知(つゆし)らず真面目一方(まじめいっぽう)の三郎太(さぶろうた)は、毎日判でおしたように、魚を取っては町に売りに行くという日を送っていたんだど。
ある時、大雨が続いて、魚取りに出られない日が続いたんだど。三郎太(さぶろうた)は、空を見上げながら、
「今日あたりは、そろそろよがんべなー。」
と言うど、おがやが、