北会津の昔ばなしと伝説 -062/238page

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と、聞きしに勝(まさ)る。希(まれ)なる孝行者(こうこうもの)、世間(せけん)の鑑(かがみ)である。よって、その働きをほめて、金二両を遣(つか)わし、罪一等(つみいっとう)を減(げん)じて無罪放免(むざいほうめん)にいたす。なお、母の病(やまい)が治(なお)るまで浮草(うきぐさ)の実を取ることを許す。本日の白州(しらす)はこれまで、一件落着(いっけんらくちゃく)。」

と御奉行様(おぶぎょうさま)の温情(おんじょう)あるお裁(さば)きに慈悲(じひ)の涙にぬれるばかりであったどよ。

 家に帰り、早速、母にことの次第(しだい)を話したら、母も涙を流して喜んで日が経(た)つとともに、次第(しだい)に元気をとりもどしたんだど。

 後に、御奉行様巡回(おぶぎょうさまじゅんかい)の折(お)り、母子共元気(ぼしともげんき)で正装(せいそう)して、地に伏(ふ)して感謝(かんしゃ)の礼(れい)を尽(つ)くしたんだど。

注1・・・江戸時代の裁判所


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