北会津の昔ばなしと伝説 -088/238page

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 「たしかに名医のお見立てのとおり重い病気になって非常に難儀(なんぎ)をしておる、どうか治してくんにがい。」

と、頼んだだど。

 宗文字(そうえ)は、早速承知(さっそくしょうち)して、体の六ヶ所に灸点(きゅうてん)して、糟尾家(かすおけ)に伝わる秘蔵(ひぞう)の「明灸神薬(めいきゅうしんやく)」を老人に渡すと大変喜(たいへんよろこ)んで帰っていっただど。

 それから、三、七、と二十一日間治療してから雷様が言っただど。

 「先生の明灸神薬(めいきゅうしんやく)でたちどころに、もとどおりの体に治ったがら。」と。

 しばらく経(た)ったある日のこと、雷が鳴りひびき大雨が降ってきたんだど。

 雷様が、童子(こども)になって降りてきたんだど。

「おかげさまで、もとの体に治ったがらし。」

 この間の御礼だと言って、一巻の医書と、大黒像と瑠璃色(るりいろ)の壷(つぼ)を渡して帰っていっただど


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