北会津の昔ばなしと伝説 -100/238page

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「はい、私もこの年で身体が思うようにならなくなったので、今のうちに弘法大師(こうぼうだいし)のお開きになった高野山(たかのやま)にお詣(まい)りしたいし、できれば高野山(たかのやま)で死にたいと願っております。これから出掛(でか)けるところです。」

と答えたところ老人は、

  高野山(たかのやま)よそにはあらじ下荒井(しもあらい)
    三鈷(さんこ)の松の法(のり)の朝風

という歌を歌ったんだど。仁範(にはん)は足を止めて

 「有難(ありがと)うございます。恐れ入りますが三鈷(さんこ)の松(まつ)はどこにありましょうか。」

と尋(たず)ねたんだど。老人は

 「その松はあなたの寺の境内(けいだい)にありますよ。これからはあなたの寺を松命山蓮華寺清浄院(しょうめいざんれんげじせいじょういん)と呼びなさい。」

と言って姿を消してしまったんだど。


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