北会津の昔ばなしと伝説 -105/238page

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れは可愛がって育てていたと。

 そしてな、暑い夏もそろそろ終りになった八月三十日夜から、ポツリポツリと雨が降ってきたど。降り出した雨は、止(や)む事を忘れてしまったか、丸二日(まるふつか)も降り続いたんだど。

その頃(ころ)の蟹川(かにがわ)橋は今の橋の百メートル近く下流に架(か)かっていたんだと。

丸太を組んだ木の橋でな、馬車が通ると、ぐらぐら揺(ゆ)れる程粗末(ほどそまつ)な橋で、高さも今の半分もなかったそうな。土手も低く、丸二日(まるふつか)も雨が降れば、たまったもんじゃなかったと思うよ。

 村の消防さん達は、心配して、早く川から上がるように、婆様(ばあさま)に何度(なんど)も説得(せっとく)したそうだが、まだ大丈夫(だいじょうぶ)と思ったのか、助けはいらないと、手を横に振って断(ことわ)ったそうな。

しかし水は増(ふ)え続け、なかっつぁままで水が上がったので、橋の上から、何本もロープを流し、掴(つか)まらせようとしたげんじょ、そのうち、流木(りゅうぼく)や家財道具等(かざいどうぐなど)が流れてきて、うまく婆様(ばあさま)の小屋までは届かながったど。


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