北会津の昔ばなしと伝説 -120/238page
当時俗謡(ぞくよう)に、
竹に雀は仙台さまの御紋
三つ葉葵(あおい)は天下さまと歌われた。
あの男はいかめしく固(かた)めている青葉城(あおばじょう)の城門前に平伏(ひれふ)し「恐れながら」と事のあらましを申し出た。番卒(ばんそつ)は
「暫(しばら)く待て」
と言って重役に取継(とりつ)ぎ、家老に諮(はか)り、殿様に言上(げんじょう)に及(およ)んだ。殿は、
「会津より遙々余に献上(けんじょう)のため白雀(しろすずめ)を持参したとは奇特(きとく)の至(いた)り、いたわって取らせよ。」
と言って籠(かご)の鳥と引き替に、金拾両を与えて帰らせた。あの男は山吹色(やまぶきいろ)の小判を肌に着け、まるで翅(はね)が生えたようにすっ飛んで帰国した。往復まる五日で家に帰った。男は女房子供と頭を突き合せて、