北会津の昔ばなしと伝説 -121/238page
「こんなこと誰にも言うでねえぞ。仕合せが逃げてしまうかんな。」
と固く口留(くちど)めした。世の中はしかし寸善尺魔(すんぜんしゃくま)「隠くすよりあらわれるは無い」ということである。
その年参勤交代(さんきんこうたい)で江戸に出た仙台侯(せんだいこう)は、千代田城(ちよだじょう)で会津侯(あいづこう)に面会した際、
「これはこれは会津侯(あいづこう)、着かぬことをお尋(たず)ね致すが、貴国(きこく)には白い雀という珍しい小鳥が沢山いますかのう。」
「いや一向(いっこう)に存じ申さぬが。」
「いや実はのう、貴国の百姓が白い雀(すずめ)を捕えて身共に献上(けんじょう)しましたが、感服(かんぷく)の至(いた)り。もっといるようでござらばもう二、三羽欲しいもの。」