北会津の昔ばなしと伝説 -200/238page
50 首(くび)なし観音(かんのん)
むかしむかし、越後国(えちごのくに)[現在の新潟県] 蒲原郡(かんばらぐん)に住んでいたある男が、身に覚えのない罪をきせられ、無実を叫んでも認めてもらえず、死罪はまぬがれませんでした。この男、役人のすきをみて、逃げだし、役人に追われる身となってしまいました。
この男は、役人の追っ手からのがれながら逃げ廻り、逃げに逃げて、阿賀野川(あがのがわ)の流れに沿ってのぼって、会津にやって来ました。
会津に入ってからも、阿賀野川(あがのがわ)の上流の鶴沼川[現在の阿賀川]に沿って、身をかくしながら、どんどんのぼって来ました。
しばらく川に沿ってのぼって行くと、目の前にうっそうと生い繁(しげ)った杉や雑木の山また山が、折り重なっているなかのある山の中腹(ちゅうふく)に、一軒の萱(かや)ぶき屋根の一部が見えました。
この男は、