北会津の昔ばなしと伝説 -202/238page
も早く罪がはれることを、ひたすら観音さまに、お祈りしていました。
間もなく、役人の追っ手に、この男が左下(さくだ)り観音堂に逃げこんでかくれていることを探り当てられ、見つけられて堂内から引張(ひっぱ)り出され、堂の傍(かたわら)にあった岩の上に座らされて、観音さまへのお祈りもむなしく、一刀のもとに首を切り落とされてしまいました。
落ちた生首をまわりに密生していたかや株で包み、それをくずつるで縛(しば)って、役人たちは、左下(さくだ)りの山をおり、越後国蒲原郡(えちごのくにかんばらぐん)へと帰り始めました。
しばらくたっても生首の血は、くずつるをつたわって、どんどん出て止まりませんでしたので、傍(かたわら)にあった湧水で首を洗いました。しばらく行ってもまだ血のりが、どんどん出て止まりませんでしたので、またそこにあった川で洗いました。
こうしてまたしばらく歩いて行ってもまだ、血のりがどんどん出て止まりませんでした。役人たちも、一つの人間の生首が、こんなにいつまでも、切られて間もないときのように、血がどんどん出てくるものですから、不思議に思うと同時に、薄気味悪くなり、また、近