喜多方市勢要覧 -018/026page
The Roman of Kitakata
喜多方散歩道
3 大地の息吹き Nature
新しい発見と驚きを秘めて、
自然界はいつも輝きに満ちている。自然は人間にとってつねに厳しさと優しさ を併せ持つ父のような存在だ。この相反する 側面を持つ自然界への畏怖(いふ)と尊厳の念は、喜 多方に生きる人々の誰もが身を持って深く実 感してきたことである。
豪雪に見舞われるこの地方では、毎年の根 雪の雪下ろしや雪かきは一家総出で行われる 過重な労働である。喜多方の人々は昔から、 この厳しい冬の生活に耐え、それを宿命のよ うに受入れてきた。水がぬるみ、雪どけがは じまる3月初旬まで、人々は雪下ろしや雪か きに追われる毎日が続くのである。
厳しい風土の中で生きてきた人々はまた、 恵み豊かな自然の恩恵に対する感謝の念を忘 れない。春に芽吹くさまざまな山菜の数々、 良質の喜多方米を育んでやまない豊饒な大地。 秋には、色鮮やかな果実とともに、ナメコ、 シイタケ、シメジなど豊富な山の幸が届く。
自然の大きな懐にすっぼりと抱かれ、自然 と共に生活を営む街を、喜多方の人々はだれ よりもよく知っていると感じる。恵み豊かな 自然を壊すことなく、自然と人間との親密な 共存関係を守ることこそ、私たちにとってよ り今日的なテーマだと思えてくる。