高郷の地質と化石 会津化石研究グループ -006/066page

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(3)利田(かがた)層

 利田層は、高郷に分布する新第三紀の地層のうち、最も古い地層です。上に述べた基盤岩の花コウ岩を、不整合(ふせいごう)の関係(7ページ)で覆っています。清水利口(しみずかがた)から立岩・塔ノ窪にかけて分布し、おもに泥岩層からなり、それにはウニや有孔虫(ゆうこうちゅう)の化石が含まれています。利田層の下部には、礫岩とアルコーズ質砂岩(花コウ岩やセン緑岩などが風化されて石英と長石がたくさん含まれている砂岩)があります。利田層は海成層で全体の厚さは最大150mほどです。

(4)荻野(おぎの)層

 この地層は利田層を整合(せいごう)(7ページ)に覆う、淡い緑色の地層、つまりグリーンタフ(緑色凝灰岩)層です。おもに火山礫凝灰岩や軽石質凝灰岩層からなり、その堆積状態が明瞭です。この凝灰岩が緑色を示すわけは、当時の火山活動で噴出した火山灰が海底に堆積し、そのなかの一部の鉱物が緑泥石などに変質して、緑色になったためです。したがって荻野層は海成層です。全体の厚さは約300mです。しかし、この地域の荻野層から化石を見つけていません。なお、荻野や大谷(おおたに)付近の緑色凝灰岩は、色の美しさなどから、「荻野石」、の名で、石材として利用されています。

  (5)漆窪層(うるしくぼ)

 荻野層に整合(せいごう)に重なり、おもに固い灰色の頁岩や泥岩層からなりますが、凝灰岩層も挟まれています。全体の厚さは、約150mの海成層で、有孔虫や海にすむ魚の骨、うろこ、貝などの化石を含んでいます。漆窪や吹屋付近にその露頭(岩石や地層が直接、地表に出ているところ)があります。

  (6)塩坪(しおつぼ)層

 漆窪層に整合の関係で重なり、おもに砂岩、泥岩、礫岩、凝灰岩の地層からなり、全体の厚さが約100mです。ウニ、貝、魚などの、海生の動物化石をたくさん含み、そのうちの貝化石は、「耶麻動物化石群」(31ページ)や「塩原(しおばら)動物化石群」として知られています。近年、海生の哺乳動物の、クジラやカイギュウなどの化石も相次いで発見されています。塩坪橋の上流と下流の阿賀川沿い、下川井(しもかわい)付近、そして栃窪(とちくぼ)付近には塩坪層の露頭がみられ、砂岩、凝灰岩な どの地層が、何枚も連続して重なっている様子が良く観察されます。

 (7)藤峠(ふじとうげ)層

 塩坪層に整合に重なるが、一部には不整合のところもあります。おもに、れき岩、砂岩、泥岩、凝灰岩の地層からなりますが、亜炭層やケイソウ土層も挟まれています。下部には、両錘形の石英をたくさん含む池(いけ)の原租粒(はらそりゅう)砂岩層もあります。これらの地層には、陸生植物の葉の化 石や珪化木(珪酸分が入りこんで固くなった木の幹の化石)が含まれます。一部のケイソウ土層からは、湖の中心部と考えられるケイソウ化石が見いだされています。また、シジミ、アゲ


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