高郷の地質と化石 会津化石研究グループ -007/066page
マキガイといった淡水〜汽水(塩分の薄い海水)にすむ貝化石も見つかっています。
(8)段丘堆積物
阿賀川と只見川沿いには、4〜6段の河成段丘が発達し、それぞれに砂、礫、粘土などから成る地層が堆積しています。これらの地層は、川の水のはたらきでつくられたものですが、この中で、特に軽石(軽いし)質砂層(軽石が混じった砂の地層)に注目する必要があります。上から数えて2〜3段目以下の低い段丘には、それぞれ最上部に軽石質砂層がみられます。たとえば荻野や塩坪付近では、永農(なぎの)や吹屋の段丘を除いて、それより低い段丘には、いろいろの厚さの軽石質砂層が堆積しています。実は、この軽石質砂層の中の、軽石や火山性の砂は、約5000年前、只見川の中流にある沼沢(ぬまざわ)火山が大爆発をした時、空に噴き飛んだ軽石が地上に落下したあと、川の水で運ばれてきて、上位の2段の段丘を除くすべての段丘に堆積したものです。ですから、段丘地形やその堆積物を観察する場合は、沼沢火山爆発以前のものか、以後のものかをはっきり区別する必要があります。逆に、この軽石質砂層より上位であれば、5000年より若い、下位であればそれより古い時代のもの、ということになります。このように、ある地層を境にして、それより新しい地層か、古い地層か、と区分することに、広い地域で利用できる地層を、「鍵層」といいます。
整合と不整合地層が他の岩石や地層とどんな関係であるかを示す言葉の一つです。整合は、ある地層がその上か下にある地層と「層理面」(そうりめん)で接し、両者に大きな時間の差もなく堆積(たいせき)している状態です(次の図のイとロ、ホとへのような関係)。「層理面」は、海底や湖底で泥や砂などの堆積作用が一時止んで、その表面がやや固まって出きた面です。その後、ふたたび新しい物質がその上に堆積したが、下の物質と混じることなく出きた面が「層理面」です。つまり、「層理面」は、堆積作用の短かい休止期を示し、上下の地層の間には、環境の変化は見られません。
一方、不整合の関係は、ある地層が上か、下の地層や岩石と「不整合面」で接し、両者に大きな時間の隔たりがある堆積状態です(図のAとBの関係)。「不整合面(図のUU′)」はかなり凹凸(おうとつ)があります。つまり、下の岩石・地層が削られたことを示す浸食面が「不整合面」であるわけです。ところで、一般に地層が形成されるのは、海底や湖底ですが、逆に地層が浸食されるのは陸地においておこなわれます。したがって、「不整合面」を境にして、上の地層(群)と下の地層(群)との間には、次のような順序の地質現象があったと考えられます。