高郷の地質と化石 会津化石研究グループ -022/066page
2)カイギュウ(海牛)化石について
カイギュウ化石が産出したのは、クジラ化石と同じ塩坪層の上部の砂岩からです。ほぼ5m四方から頭骨、橈尺骨(とうしゃこつ)、肩甲骨(けんこう)(11図)などがまとまって掘りだされました。おそらく、同じ一個体のカイギュウのものと思われます。わが国は、欧米に比べ、発見・発掘されているカイ ギュウ化石は少なく、その産地はまだ10数ケ所です。しかし、今回高郷から発見された化石には、頭骨など、種類を決定する上で重要な部分も含まれています。ですから、アイヅタカサトカイギュウは、日本のカイギュウの進化の謎を解いたり、欧米のカイギュウと比べる上でも大変貴重な化石です。
a、アイヅタカサトカイギュウの頭骨
(仰向けに見たところ、上が前方。スケールは10cm)
b、アイヅタカサトカイギュウの肩の骨化石
(スケールは10cm)
C、1:頭骨、2:胸椎、3:肩甲骨、4:肋骨、5:橈尺骨
第11図 a、bはアイヅタカサトカイギュウ、Cはアイヅタカサトカイギュウの産出した部分を、ヨルダニカイギュウの骨格にあてはめた図