高郷の地質と化石 会津化石研究グループ -029/066page
オットセイの上顎(じょうがく)の歯(斜線部が該当(がいとう)部分)d、産出した部分をオットセイなどにあてはめた図
アシカ類の骨格(こっかく)(斜線の部分が上腕骨(じょうわんこつ))(2)魚の化石
塩坪層から、魚の化石(第15図)も発見されています。魚の背骨やうろこ、それにサメの歯です。背骨の多くは長さが1cm前後で、砂時計のような形をして残っています。魚のうろこは、石の中に丸く、あるいは小判の形でしみのように残っています。一般に茶色か黒色で、光沢があり、周(まわ)りから中心にむかって並行な切れ目(溝条)(こうじょう)が見られますので、ニシンのものと思われます。漆窪層からも魚のうろこの化石が見つかります。
魚の歯は大きさの違う三個の歯がそれぞれ別の所から見つかっています。形はいずれも平たく鋭い三角形をしていることから、明らかにサメの歯です。そのうちの一つは中新世に生息していた巨大な(体長約13m)サメ、カルカロクレス・メガロドンの歯です。歯の高さは約10cmもあり、古くは「天狗の爪」などと呼ばれていました。二つ日のサメの歯は高さが約1cmと小さいもので、形の特徴からみてメジロザメの歯です。もう一つのタイプの歯は高さが約10cmですが、幅(はば)がカルカロクレスのものより狭く、ややスマートで、アオザメの歯です。
ところでサメの歯の交換は、人のように垂直交換でなく、カイギユウヤゾウのような水平交換でもありません。車輪交換といって、上顎、下顎それぞれの歯の内側には、次に出る歯が何