高郷の地質と化石 会津化石研究グループ -039/066page
ブナと同一場所か、やや日当りのよい山地に自生するミズナラの化石も少し産出しています。昔よりコナラと明白には区別されずに、薪炭用材、家具などに利用されました。ミズナラは葉柄が短かく、コナラの葉柄(ようへい)は10〜12mmあるので区別されます。
ブナ科の落葉広葉樹(らくようこうようじゅ)では他に、カシワ・アオナラガシワ・クリなどの現存種も鮮新世に、生育していたと考えられます。
ハンノキに近いと思われる化石が産出していますが、本種は現在、会津方部の湿地に広く自生している樹種で、裏磐梯には広大なカバノキの純林があります。
この他のカバノキ科の樹種では、ミヤマハンノキ・クマシデ・サワシバ・ウダイカンバ・ダケカンバ・ミズメ・アカシデ等が現在普通に自生し、更新世から報告されているので、高郷付近の鮮新世にも繁茂していたものと考えられます。
カエデ科の化石も見つかっていますが、この地質時代に自生したと思われる種類は、第21図に葉形だけを示した、ヤマモミジ・ハウチワカエデ・カラコギカエデ・アカイタヤ・ウリハダカエデぐらいと思われます。これらのカエデ類はブナ・ミズナラ林の亜高木か、またはマント林として生育し、秋日には美麗に紅葉していたと思われます。現在、鳥屋山などに多く自生している。雪国の代表種のウラジロイタヤはまだ進化していなかったと考えられます。