高郷の地質と化石 会津化石研究グループ -050/066page
4・25 前日、石膏をかけたカイギュウの頭骨らしき化石と椎骨化石を、石屋さん(3人)の手を借りて発掘する。二輪車に積んだ約500kgの岩塊を川岸より、高郷中野球部が引っ張りあげる。50人におよぶ人海作戦は素晴しい。同時に、地元の小・中学生が参加する「ふるさと教室」、化石と地層、発掘現場の説明などを普及活動として行う。 5・16 3個の椎骨と1個の肋骨を石屋さん(3人)と一緒に発掘する。化石の運搬に、また野球部貞の怪力が発揮される。 6・5 いままで、ぜい肉を削った化石を喜多方女子高へ運搬する。同校理科部員さらに喜多方高校理科部員も合流してのクリーニング作業がはじまる。 6・7 塩坪橋下流、両岸地域を化石埋蔵地として、高郷村重要文化財(天然記念物)に指定するよう、同村文化財保護審議会が村教育委員会へ諮問する。 7 着々と頭骨化石のクリーニングがすすみ、文献で検討した結果、多くの会員が疑いなくカイギュウの頭骨と認めるようになる。素晴らしい標本を得た喜びとともに責任の重大さを感じる。 8・5 山形県立博物館で、小林、渡部がハワード大学ドムニング博士と面会する。 8・13 アゴと歯の化石を発掘する、参加者5名。この化石、クジラもカイギュウでもない。歯ならびからいって犬歯が大きく食肉動物かもしれない。早速、堀川会員へコメントを求めたところ、「鰭脚類(ききゃくるい)化石で多分アシカ亜科ではないか?」の回答を得る。また、ニューフェイスの登場に活気が生まれ る。 9・10 地球科学36巻5号(1982年9月)に、短報「福島県耶麻郡高郷村の塩坪層から発見された海牛目化石について」が 掲載される。これにより、全国的にも認知される。 9〜12月 化石のクリーニングと同時に、高郷村郷土資料館展示準備のため、高郷村の地質と地形の調査を精力的にすすめる。