高郷の地質と化石 会津化石研究グループ -056/066page
いう熱意と自前(じまえ)の精神(手弁当)をつらぬいて、発掘や研究をすすめる活動があったからと思われます。
・発掘成果の普及(ふきゅう)をめざして化石(肩甲骨)の発掘やクリーニングがすすんでいくなかで、村の人たちに化石のもつ価値を知ってもらうことも、調査・研究とならんで行われねばならない大切なことです。「塩坪から、珍(めずら)しい海牛動物(かいぎゅうどうぶつ)化石!」のタイトルで、報告とお礼をかねたチラシをつくり、塩坪集落(しおつぼしゅうらく)の各家庭に配布してみると、「川原で拾ってきた家のものを鑑定(かんてい)してくれ」などの反響(はんきょう)がすぐにおこり、なかには、化石とは関係のない現生動物の骨まで持ちこまれたり、村の人との交流がはじまります。村民も、だんだんと化石に興味をもちはじめます。なかでも、すぐに順応してくれるのが子どもたちです。公民館主催の「ふるさと教室」の『ふるさとの歴史をさぐろう』シリーズで、化石の語る大昔をテーマに、会津化石研の会員の説明・案内をうけ学習に参加しています。教室後の感想文でも、化石に対する興味が一番あったそうです。
こんな普及運動は、マスコミの知ることとなり、地元の新聞も、ニュースとして取り上げはじめました。5月の段階では、福島民報が会津若松市に建設予定の県立博物館の展示構成と設 計(せっけい)の骨格(こっかく)がまとまったと報道したなかで、「調査活動では、八月ごろから会津地方の古代の地層を明らかにするため高郷村を中心に動物化石群の収集に当たる。」ことを記事にしています。この記事をめぐって、会津化石研ニュース5号では、何だかわりきれない、の見出しで、囲(かこ)みらんの記事を書いています。「ところで県は、地元高郷村で郷土資料館をつくり、そこに化石を展示する計画があることやそのため調査している私たちのグループがあることも御存知のはず、にもかかわらず同じ場所の同じ化石を調査するということは何でしょう。県独自の調査団が入るから、あなたたちは遠慮(えんりょ)しなさいということかな。それとも、これまで発掘、クリーニング、調査したものを寄贈(きぞう)でもということかな。ともかくあんまり良い気分ではないですね。科学するにも、地元の人々とともに歩むことを忘れてはならない。」こんな雰囲気(ふんいき)のなかで、後を追うように6月に同紙は、珍しい海牛の化石と断定、と会津化石研グループの発掘を伝え、県教委も調査へと書きたてます。さらに、今度は、福島民友の記者が直接現地取材(げんちしゅざい)にきて、現在の発掘、調査内容を聞き、郷土資料館とのからみをふまえてワイドニュースとして、7月4