高郷の地質と化石 会津化石研究グループ -058/066page

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館建設がきまると、間もなく地教委、公民館から、会津化石研究グループへ郷土資料館の展示内容の相談がもちかけられます。ためらうことなく私たちは、「本村特産の貴重な化石類の展示は、村の自然史の証(あかし)になる。」と大いに奨(すす)める。しかし、カイギュウなどの化石の価値は認めるものの、資料館にはなじまないのではないかと、すぐに納得(なっとく)してはもらえません。この時、いわき市で開催(かいさい)された「いわきの化石・岩石展」(57年3月6日〜14日)が好転(こうてん)へのきっかけになります。これに、村教育委員、文化財保護審議委員、それに、会津化石研の小林、渡部も加わり視察、調査をする。その結果、化石・岩石には地域性があること、本村のそれらも、高郷村の独特さをしめすうえで格好(かっこう)の材料であることが認識され、そのうえ、県への郷土資料館建設の報告でも、「ユニークである」とすすめられたこともあって、化石・岩石の展示室をつくることがきまったのです。そして、奨めた会津化石研究グループに、その展示作業が委託(いたく)されたのです。

 今までの調査、研究のうえに、「化石・岩石の展示」の仕事まで加わったのです。「保管室をつくろう」の方針が実現する運びになったのですから、「今こそ、自前の精神で…」と意気ごみ、展示内容の充実計画(じゅうじつけいかく)と具体的な進行計画表をだし、クリーニングや発掘に動き回ることになります。ここからは、地教委・公民館との連携(れんけい)、また、多くの人びとの協力が必要になってきました。実際のこととして、カイギュウ化石の調査研究のうえで、山形県立博物舘(はくぶつかん)や国立科学博物館などに出入りしていると、「展示は調査・研究とはべつな要素がある」ことを実感として持たざるをえなかったし、これを具体化するためには、どんな方法が良いのかが大きな課題となって私たちにせまってきます。

 現実はいろいろな方向で進んでいきました。まずは、地元の人びとの多くの援助がえられたことは、大きな収穫(しゅうかく)です。いくつかあげてみましょう。地元中学校や高校およびその生徒がクリーニングや標本(ひょうほん)の運搬(うんぱん)などの面で多大の協力をしてくれる。ある商店主は数十枚の説明カードを墨書(ぼくしょ)してくれ、地元中学校教師や高校生が展示用の図を見事に描いてくれる。 貝化石を含む岩石で石灯寵(いしどうろう)をつくり飾り物として売っていた石屋さんは、化石の価値を知り逆に発掘や展示に積極的に協力してくれる。なかには、秘蔵(ひぞう)の化石を展示用にそっと出してくれた石屋さんもいる。ある人は、クマの頭骨(とうこつ)を標本用に誇(ほこ)らしげに貸してくれる。また、現生動物標本の骨格にと、夏にイタチを校庭

化石の運搬
化石の運搬、何十人の高郷中学生の怪力が発揮された


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