高郷の地質と化石 会津化石研究グループ -059/066page

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化石のクリーニング作業を行う当時の喜女高生
化石のクリーニング作業を行う当時の喜女高生

隅(すみ)に埋めていた ことを思いおこし、酷寒(こくかん)の積雪の下から掘り出してみる。このように、地元の人びとの隠れたすばらしい力が遺憾(いかん)なく発揮されたのです。

  しかし、展示には当然その方法や標本の専門的な知識が必要で、どうしても研究者の協力をえなければならないこともあります。はたして、こんな山奥の小さな郷土資料館建設に協力してくれる化石研究者がいるだろうか。いろいろ考えたあげくに、                           ともかく知っている限りの研究者に地元主義の設立主旨(しゅし)を伝え協力を求めることにした。する と、研究者が別の研究者を紹介してくれるなどの輪が広まって、東京、大阪、新潟など多くの研究者から展示方法や化石の鑑定(かんてい)、珪藻(けいそう)分析などの協力をえることになりました。このことは、協力してくれた研究者のあいだに、「地元で保管し、地方の人びとが利用し、学び、研究できるよう援助する。」という考えがあったからこそです。いまでは、「多くの人びとの協力が、発掘を支え、地元での保管に成功し、それが郷土教育の資料として役立つことになりえた。」ことを私どもは確信(かくしん)できています。もし、この発掘を含めた展示活動を、一部の研究者が請負(うけお)ったなら、このような事態にはならなかったでしょう。多くの人々が参加してこそ発掘・展示の完成ができたのであり、「はじめからだれも専門家ではない」とのモットーを再確認できた活動でもあったのです。それでも、資料館づくにり参加した人びとは、次のステップをむかえたら新しいものを創(つく)りあげていくファイトを心にたくわえたのにちがいありません。

            

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