高郷の地質と化石 会津化石研究グループ -060/066page

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3. 今後の高郷村郷土資料館のあり方への願い

高郷村郷土資料館
高郷村郷土資料館

 こんなことで、1983年(昭和58年)3月28日、高郷村郷土資料館がオープンします。ここでは、このガイドブックに善かれている第一展示室(大むかしの高郷の自然)について開館後の反響(はんきょう)をみてみましょう。

 展示の中身は学術上価値の高いものが多く、とりわけわが国最古のオオカイギュウの頭骨等の化石が目玉(めだま)となっています。また、クジラやアシカと思われる化石も展示しており会津の海生哺乳動物化(かいせいほにゅうどうぶつ)化石の宝庫(ほうこ)ともいえます。地元の人は、これまで何気なくみてきた、ありきたりの貝化石にはじめてつけられた生息環境(せいそくかんきょう)や食性(しょくせい)などの説明カードを読んでしみじみ見直(みなお)している。ある人は、身近な地層の写真の説明分を読んで深くうなずいている。また、何度も化石をみにきた子どものなかにカイギュウの豊かな知識を身につけた子が説明役の公民館職員に鋭い質問をあびせ困らせている。すでに開館してから1年、地元の人や隣接市町村(りんせつしちょうそん)の人びと、なかには、小中高の教員の研修、学生の遠足、福島野尻湖友の会の学習会など多くの人々が訪れ、その数約2000人をこえています。このような現実のなかで、私たちを含めて、建設に協力された人々や日び来館される人の心のなかに「郷土の文化財を守り、その学問的な意義づけとともに、その成果をみんなで学びたい」という気持ちが強くあることが感じられます。

 ここで、今後の高郷村郷土資料館のあり方を考えてみるのも、欠かせない重要なことです。確かに、地元では郷土資料館の完成を機(き)にして村の自然史や文化史に関心が高まりつつある。が、問題点がないわけではありません。

 まず運営機構(うんえいきこう)上で問題が出ています。いままでの資料館誕生のいきさつでもわかるように、教育委員会・公民館の同一パイプでの資料館設立(せつりつ)は、生みだすまでの過程における考え方の融和(ゆうわ)や事務のスピード化をはかれた利点はあっても、それに、文化財保護審議委員会が郷土資料館の運営を審議するという変則的な措置(そち)が、化石地域の文化財指定と結びつき資料館づくりに貢献(こうけん)したという点はあっても、現在では、公民館が兼務(けんむ)するという機構や文化財保護審議委員会が資料館運営をも審議するしくみは考え直さねばならないことではないでしょうか。率直

                

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高郷村の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。