西会津町勢要覧 -015/022page

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志す wellness

伊勢亀 久美子さん
在宅介護支援センター・ソーシャルワーカー 伊勢亀 久美子さん
『ここでは、家庭復帰が目標なんです』

山形 千代江さん
特別養護老人ホーム さゆりの園・寮母 山形 千代江さん
『人と人との交流が生きがいになります』

 ――「憩の森」の環境は素晴らしいですね。

山形 「町が力を入れている事業なので、全国的に見てもかなり整った施設です」

伊勢亀 「さゆり公園に隣接してるのもいいんですよ。お年寄りの施設こそ、社会と交流が持てるところにないとだめなんです」

山形 「その点、憩の森は、さゆり公園でスポーツをする人たちの活気がお年寄りにも伝わってきます」

伊勢亀 「この施設では、家庭復帰を目標にしているんです。家庭復帰というと元通りに治って、家に帰ることと思ってしまいますが、そうではないんです。失ってしまった機能は戻らないこともあります。いまある機能でエ夫して補えるようになるまでを、ここでお手伝いするんです」

山形 「その期間に、家の方にもよりよい介護の仕方を身につけてもらうことができます。施設の職員は介護のプロ。プロの技術を提供するところが施設なんです」

伊勢亀 「介護する方も、一人では滅入ってしまうこともあると思うんです。一度施設を利用してもらえば、家庭復帰した後でも、何かにつけ相談に来ていただくことができます。これからはもっと、地域の福祉の拠点として気軽に訪ねてほしいですね」

山形 「親でも自分でも、人が年をとるのはあたりまえなんです。その時どうすればいいか予備知識があれば、いらない不安もなくなるはずです」

 ――お年寄りはここに来られてどうですか?

伊勢亀 「初めは緊張している方も多いですが、そのうち友だちができると、みなさん変わっていかれるんです」

山形 「将棋の相手ができたりね。家にいた時は近くに同年代の人もなく、話したいことも話せずに暮らしている方もいるんです。新しい友だちができるというのは、施設の何よりいいところですね」

伊勢亀 「将棋の仲間で、現在はどちらも家庭復帰されたんですが、今でも文通をしていらっしゃるという方々もあります。憩の森の盆踊りにはきまってお二人でやってくるんですよ」

山形 「ここには、ボランティアの高校生がやって来たり、保育園児の訪問などもあるんですが、そんな時はお年寄りの顔が自然にほころんでくるんですよね。家族の方がいらしたら、なおさらです。喜怒哀楽のある暮らしが大切なんだと思います」

山形 「人と人との交流が、いちばん生きがいになるんですね。私たちも、休みの日は山登りなど積極的に外に出て、初めての人と会ってネットワークを広げるよう心掛けているんです」

伊勢亀 「憩の森のことも、ピーアールしているんですよ。町内外からたくさんの人に注目してもらうことで、ますますいいケアをしていきたいですね」


挿絵 ペン&便箋

憩の森
憩の森は昭和63年12月1日に開所以来、現在まで、実に80%台の家庭復帰率を誇り、地域における在宅支援施設の役割を果たしています。施設対象者は、病弱な寝たきりのお年寄り、それに準ずる状態のお年寄りです。サービスは、リ八ビリテーション、看護介護を中心とし、入所及び通所の方法で提供。利用者の医療、看護介護の経費については老人保健制度の財源から支払われています。憩の森は、高齢化がますます進行する中で、寝たきりや痴呆など介護を要するお年寄りが著しく増加することに対応した施設。―人ひとりの心身の特性にふさわしい、きめ細かなサービスを提供し、より自分らしく生きることを目標とし、全国からも注目されています。


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