あいづばんげ町勢要覧 -019/034page
て光重は病に倒れる。その志を継い だ息子の光忠(吉左衛門)が、地域 の人々と力を合わせ難工事に敢然と 取り組み、遂に親子二代三十年余を かけて「牛川堀」を完成させた。劇はこの佐原親子を中心とした史 実に光を当てながら、現代のある一 般家庭の状況をそれにオーバーラッ プされる形で展開する。そして先人 が何を考えて行動したか、それが現 代にどう生きているかを浮き彫りに し、「牛川堀」の築造と現代社会に横 行する安易な地域開発とを対比させ ながら、「本当の地域づくりとは何 か」を問い掛ける。
創作劇「水、流れざれば」は平成 三年一月二十二、二十三日に福島県 文化センターで開催された「物語の あるまちづくり交流大会」で発表さ れ大好評を得た。その後三月一七日 には町民体育館で上演。数多くの町 民の前で、活動の集大成を発表して みせた。
「芝居という手段を使って、埋もれ た町の歴史に光を当てて町の個性を 引っばり出せたら、と思うんです。 私たちの町にはこんな人がいたん だ、と町を誇りに思えるような、そ んな何かを……」。メンバーたちの目 標はすでに次へと向けられている。 「水、流れざれば」で好評を博した後、 早速第二弾の創作劇の上演に向けて の準備に取りかかったのである。
二作目のタイトルは「夢をつない で」。高寺地区に 伝わる黄金伝説 をテーマにした 本格的なオリジ ナルミュージカ ルである。町の さまざまな催し の際に上演する 予定で、日々練 習を重ねてい る。
「一人でも多 くの町民がこれ を見て、町の歴 史や自然、そし てこの町に生き ることの素晴し さを認識するキ ッカケにできた ら嬉しいです ね」。
会津坂下町の 将来を支える若者たちが集い、歴史 を学び、知恵を出し合って創作する 「物語」は今始まったばかり。これか らどんな「物語」を創り、見せてく れるのだろうか。自問自答と試行錯 誤を繰り返しながら、若者たちは今 日もまた練習に汗を流している。
埋もれた歴史に光を当てることで
町の個性を再認識できたらと思うんです。会津坂下に
生きる太陽たち