会津高田町勢要覧 -006/031page
CHAPTER1 第1章
History of Cherry tree世の人の心や深く 染めぬらん うすずみ桜 あかぬ色香に
会津藩主 松平 容保 薄墨桜 虎の尾桜 宮川の千本桜薄墨桜(うすずみさくら)
伊佐須美神社正面にある薄墨桜は、会越国境の御神楽岳から博士山、明神ヶ岳を経て現在の地に遷座された当時からの ご神木であると伝えられています。 淡紅色の中心に薄墨を含んだ色から命名されたと言います。花は、香気高く一枝に一重と八重が混じり、早咲き、遅咲きもある 珍しい桜で、植物学上からも貴重な銘木です。伊佐須美神社は一,四〇〇年を越える歴史の中、数度の火災に遭い、そのつど薄墨桜も 被害を被ってきましたが、いづれの場合も芽を吹き返してきました。毎年四月二十九日に斎行されている花祝祭には、 花弁をつき込んだ餅が参拝者にふるまわれますが、香りのよい桜であることから「姿の滝桜。香りの薄墨桜」と称されています。 薄墨桜は、はるか昔から人々の暮らしと世の移ろいを見続けてきました。それはこれからも悠久に続くことでしょう。
会津高田町には、会津五桜のうち二つの桜銘木が存在する。
伊佐須美神社の御神木、薄墨桜と法用寺観音堂の虎の尾桜が会津五桜に数えられています。 古くは、会津若松市の石部桜を含む会津三桜であったとされていますが、現在では猪苗代町の大塵桜と、 会津坂下町杉の糸桜を加え「会津五桜」として定着しており、実にその内の銘木二本を有してわが町の誇りとなっています。 虎の尾桜は大同三年(八〇八)徳一大師が観音堂を再建したときに植えられたと伝えられています。 古い親木が枯れても、根元からひこばえが生じ、親に変わって成長する性質があるため、現在の木はその何代目であろうかと 考えられています。 また、薄墨桜、虎の尾桜に先がけて咲く、宮川堤の千本桜も見事な花をつけます。