会津本郷の野仏 -013/090page
川観音・栃沢と関山には、如意輪観音像を一基ずつ見ることができます。
「この世の生とし生けるものを救うことを悲願とし、救いを求めるものには、ただちに手を差しのべる」と説く、現世利益(りやく)を本誓とする信仰からと考えられましょう。
24 三界(さんがい)万霊塔(寓霊(ばんれい)塔)万霊塔は路傍に建てられるというものではなく、寺院や墓地入口にあるのが普通です。
仏教でいう「三界」とは、欲界・色界・無色界の三つの世界をいいます。
欲界は、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天(大欲天)の欲望と煩悩に満ちた世界をいいます。
色界は、禅定に入って心は静まるがそれでも未だ物質(色)への思いが残っている世界のことです。
無色界とは、すでに色に対する思いは離れるものの、まだ切り捨てなければならない煩悩が残っている世界をいいます。
円通寺に昭和四十二年造立の地上高4メートルを越す立派な“三界万霊塔”が見られます。
この迷いの中にいる人間のみならず、餓鬼畜生に至るまで、すべての霊を供養しようというのが三界万霊塔です。
25 太神宮伊勢の皇太神宮を祭神とあがめられる「太神宮」の本体は、山の下の高台に祀られています。
高さ0.78メートル、周1.44メートル円柱形の自然石に闇達(かつたつ)な太文字で「太神宮」と彫られています。
お伊勢様の本体とはいえ、高い場所と自然石の形態からか、ここまで参拝に来る人は案外に少ないようです。
新年には信心深い区民の手によって注連縄(しめなわ)が頭頂に巻かれます。
宗頤入口の北側にも、文政六年(1823)に造立されだ「太神宮」が見られます。地上高1.17メートル西国・板東・秩父・四国八十八所と「太神宮」と太書されて左右に彫られています。
「太神宮」を主として、全国百力所の観音霊場と、四国八十八力所の巡拝を果たした記念に建立されたものと考えられます。
26 納経塔(のうきょうとう)(廻国塔)