鮭立磨崖仏 - 002/135page

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発刊に寄せて

 「名馬伯楽に遭わず」という言葉がある。如何なる名馬も、それを識る人に遭わなければ駄馬で終るしかない、という例えである。

 「鮭立磨崖仏」は実は二百余年の間、その伯楽に遭う機会のなかった「名馬」ならぬ「秘宝」であったようである。
 天明年間、金山町鮭立の地に土着した修験者の、発願と不屈の伎倆(ぎりょう)によって作られたと伝えられる磨崖仏は、製作の当時はいざ知らず、近世・現代にあっては、所在地近隣の人の間に「ほろしの神様」として、僅かに知られていたに過ぎない。

 それが昭和四十八年金山町の町史編纂(へんさん)に当り、東北大学教授・文学博士高橋富雄氏の目に触れることによって、いわゆる伯楽第一の目に留まる。結果して昭和五十二年金山町重要文化財として指定されるに至って、漸く世人の注目の的となり、続いて、横田松前寺出身で僧籍にも身を置き、日本石仏協会会員でもある山入地


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