なかで、繊維の材料とされたことは驚きである。
アカソの他にもアオソ(カラムシと異種)イラクサやアイコなども同様な性格をもっているから繊維として実用されたのであろうか。
また、この種の植物は食用として喜ばれたから庶民にとって、アカソは衣食生活を成り立たせる貴重なくらしの資源であったのである。
直江兼続四季農成書　一部抜粋
地下人上下共身持之書
一、…家主・娘・女房ハ糸を取、苧をひねり、男子共乃着類をかせくへし…
一、四月…からむし畑へ、近邊の山々、萱をきりかけ、家近ならハ、風をうかがひ、橈べし。時分ならは、山畑にハ、粟・稗・黍をまくべし。…
一、七月は、からむしを取へき也。むかしハいつかのよし候。只今ハからむしを以、地下人よろずを調也。能々案知見類に、田に出來る米にはまさりたり、いかに　をおろそかにせんや。其年乃仕合によるといへども、からむし短は、こやし不入故他。是ハ男の不念なり。如此之男ハ、物くさきものか、病者か、せんきふるひかたるべし、其子細ハ、風おもてに、風やらひを不致故也、
又からむし能候へとも、あらさひぬけさるハ、女房乃ぶたしなミ也。如此の女房ハ、いつかたの掃除もむさく、あしきにふひふんぶんたるも志らす男に向べし、又綿おも色白、からむしをも能仕出したる女房ハ、ミめさまハすくれすとも、不断のたしなミきれいにして、心言葉もやさしく有べし、如此の家主をハ、男いかにも懇切に、常に午房・山のいもをふくして、書抜ともにかせくべき也。綿のいろくろく、からむしの色も悪敷ハ、いかに女房ミめかたち能くとも、…
萬金産業袋　三宅也来　一部抜粋
夏物類
○越後縮　幅九寸、丈弐丈七八尺。女物長尺、三丈壱弐尺の余まても有。島、しろ、生(玉子といふ。)島に男島しなしな。女もやう、紅入.桔梗入等は皆ふり袖地なれは長尺なり。尤、越後縮ほど上品下品有はなし。まつ御召地といへるは、しろ、玉子、島ともに、誠蝉の羽もいかでと思ふ斗うつくし。またやうやうかが島ねだんのそこらに至りては、一反の重みたしか三百目も有つべくも思ふ。しかれとも糸性みは麻苧なれは上品下品とも着こゝろは汗をはじき、べたつく事更になし。扨上品のしろは、誠や寒中の雪をもつて、数千度となくさらしぬきて織立るとなれば、正真雪よりもしろく氷よりも涼し。また上品の生を一反にぬらし、引しごきては銭の穴をも通るといへり。いかにもさも有べけく覚ゆ。
東遊雑記　吉川古松軒　一部抜粋
この辺の田畑は、何にても生ずべき所なれども、寒中雪深きゆえ諸品生じ難く、緒にする唐むしという麻にほぼ似たるものを作る、この辺にて多く作りて布に織るなり。この草およそ三年も過ぎざれば、糸の如くして縮に織ることならず、もっとも価の賎しからぬものなり。麻も多く作るなり。早稲を植うるを見るに、透間なくしげしげ植え付くることなり。
北越雪譜　鈴木牧之　編選　一部抜粋
総目録
北越雪譜初編巻之中
越後縮
縮の種類
縮の紵並紵績
縷綸
機婦
機婦の発狂
御機屋