下野街道(南山通り) -026/109page
(9) 大内宿
大内宿は、江戸時代の宿駅制度の中でつくられた宿場の形態を 良く残す町並みとして、昭和五六年、国の重要伝統的建造物群保 存地区の選定を受けました。
町並みの代表的な特色は、一、旧街道の両側にほぼ均等に割ら れた屋敷割りと街道から一定幅を後退して立てられている建築習 俗。二、茅茸寄棟作りで妻を旧街道に面させる主屋の形態。三、 旧街道に面して二座敷を併置する旧宿駅住居の形式。四、二座敷 の表及びその前後を化粧樽木で飾る軒形式。などが挙げられます。
大内村は、文禄三年(一五九四)の蒲生領高目録に「大内、三〇 九石二斗五升、高五郎兵へ」とあり、村として成立していたこと は知れますが、いつごろ宿駅となったかを知る確かな資料は見つ かっていません。下野街道筋の駅所業務を知る最も古い記録『糸 沢村覚書』は、元和六年(一六二〇)まで遡ることができ、田島、 糸沢、横川が馬継ぎとして機能していました。会津−南山−関東 を繋ぐ道筋として考えると大内も重要な場所の村であり、前記 村々に大内も加えて良いのではないかと思われます。
こうした価値ある町並みを残した最大の要因は、区民が相互扶 助の精神により前々から防火に取り組み、火災を出さなかったこ とにあります。