のびゆく南郷村-076/087page
<佐平と定蔵>
150年ほど前、馬場佐平、馬場定蔵という二人の若者が、伊南川から水を引く方法を考えました。佐平は、へつりの岩にトンネルをほって水を引く計画を立てて、村の人たちと相談しましたが、費用のことなどで反対する人がたくさんいました。
それでも、毎ばんおそくまで相談し、佐平と定蔵の二人が責任者になり、工事を始めることになりました。
〈むずかしい工事〉
トンネルをほるためには石切りをしなければならず、たいへんむずかしい工事でした。村の人たちも協力しましたが、田植え時になっても完成しないので、反対した人たちは、成功をうたがいました。
しかし、佐平や定蔵たちがいっしょうけんめいだったので、宮床の人だけでなく、界の人たちも協力しました。代官所も工事に費用をかしてくれました。
そして、弘化4年(1847年)7月2日、ついに、伊南川の水が音を立てて、村の中の用水路を流れ始めたのです。
工事は3年もかかり、費用ははじめの計画の3倍以上もかかりました。
佐平と定蔵の仕事をたたえる記念
▲今も残るトンネル(宮床)
▲宮床用水路
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