博物館学習指導の手引き-044/098page

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関連単元名:聖武天皇と奈良の大仏
展示コーナー:c:律令政治と行方郡
資料名:泉廃寺跡出土遺物

泉廃寺跡
泉廃寺跡
泉廃寺跡は、原町市泉字寺前・宮前を中心とした広大な古代の役所跡である。この周辺の地域から、特異な文様を持つ古瓦や焼け米が採集され、礎石が点在していたことなどから奈良・平安時代の古代寺院と考えられ、昭和30年(1955)福島県指定史跡となる。しかし近年の発掘調査から八脚門を持つ塀に囲まれた堀立柱跡建物群や大量の瓦が出土し、泉廃寺跡が寺院を含む役所跡であったことが明らかになってきている。舘前地区からは大量の瓦が出土していることから役所の付属寺院跡と考えることができる。

泉廃寺跡出土瓦 福島県指定文化財
<花葉文軒丸瓦・花文軒丸瓦>
花英文軒丸瓦は直径が23cmという国内最大級の大きさである。この瓦は一般的に用いられる蓮華文様とは異なり泉廃寺のみで出土し、7世紀後半と推定される。花文軒丸瓦は出土数は少なく、6〜7枚の花文がある楕円形の瓦である。<円面硯> 律令国家が整備され、国や郡の役所では戸籍つくりなどに文字を使用する。泉廃寺跡からは円面硯が出土しており、昭和30年(1955)県指定文化財となっている。紙が貴重であったため、紙の代わりに木簡を利用しており、硯・筆・墨のほか刀子などが役所などで使用されていた。
硯・筆・墨のほか刀子


<焼け米>
『続日本紀』に「實轟5(774)年7月20日に、陸奥国行方郡の役所で火災があり、籾米と穎稲(稲の穂首)二万五千四百余りを焼く」と記載されている。泉廃寺跡の畑などから採集できる焼け米は、この地に役所があったことを裏付けるものといえる。
焼け米

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