自然観察ガイドブック 五十人山の自然 -018/032page
五十人山の地質
はじめに
五十人山は、阿武隈高原のほぼ中ほどに位置し、県立公園に指定されている景勝地である。
南北180km、東西50kmの広大な面積を占める阿武隈高原(産地)は、今から約1億年前(中世代、白亜期の後半)に地下のマグマがゆっくりと冷え固まったカコウ岩と、それより古い時代に形成された変成岩、中古成層などからなっている。五十人山とその周辺は、主としてカコウ岩とその仲間からできている。
これらの岩石は、かつて地下のかなり深いところで形成されたものであり、現在これらが広大な山地を形成していることは、過去から現在までの間に大規模な地盤の隆起と、それに伴う河川の浸食作用が働いたことを物語っている。
古代人がこの日本列島で生活するようになってから、せいぜい3万年ぐらいであろう。
しかし、五十人山は、少なくとも一億年昔から、時の流れにのってまわりの様々な変化とともにいまに至り、我々に景勝地としての安らぎの場を与えてくれている。
五十人山の姿と阿武隈山地
ふもとからみる五十人山の姿は、おおむねなだらかな、また山頂付近も平らな山である。
山頂の標高は883mあり、この高さは周辺の山々と比べてもあまり差がない。むしろ山々はほとんど高さを同じくしているようにもみえる。
五十人山に登るには、葛尾村からは西の内中学校前と湯ノ平からの二つのコースと、都路村からは持藤田からのコースがある。
都路村持藤田からみる五十人山