自然観察ガイドブック曰山の自然 -008/031page
8 曰山の植物 がないといわれている。ここは標高870mで、 田沢の向うにそびえる山(羽山)と同じ高さ になる。昔、竹を割って水を張った手製のレ ベルで、このことが確かめられたという。
やがて尾根の北側に樹林を見るようになる。 そして、路はこの樹林の中に入って行く。こ の樹林は大部分がミズナラの若霊林で、かつ ての薪炭林か、放牧地の跡であるが、一部に はブナの林も見られる。ブナと共に、クリ、 コバノトネリコなどが見られ、林床にはスズ タケが密生し、オオカメノキ、ヤマモミジな ども多い。地表部にはコカンスゲが普通であ る。この、ブナースズタケーコカンスゲとい う組合せは、典型的な太平洋岸型ブナ林の特 徴である。
路に沿って土塁が走っているが、これは、 かっての馬の放牧の跡である。樹林の自然度 は頂上に近づくほどむしろ低くなり、やがて、 ミズナラの矮林を抜けた所で急に視野が開け、 頂上のシバ草地につく。
頂上草地の東端の高みに、田沢の社がある。 ここからは、北に霊山、南に大滝根の山容を はるかに望むことができる。大気の条件が良 ければ太平洋も望まれる。また、ここから南 に僅か下りた所に、天狗の跳ね石と呼ばれる
[田沢の曰山神社] 手前がオニシバの草地で、周辺はヤマツツジ を主とする低木群で囲まれている。巨大な花こう岩の露頭がある。これは、曰山 残丘に岩体を形成している岩石で、今からお よそ1億年前の、アルプス造山運動の一時的 に、地底から湧き出て固まったものである。
茂原口
茂原の社は、山頂草原の西端に茂原の方を 向いて建っている。社のかたわらには、かつ