自然観察ガイドブック曰山の自然 -016/031page

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16 曰山(天王山)の動物

草の繁みにはツユムシなども隠れている。畑 の低木叢中からは「ジャジャ」というウグイ スの地鳴きも聞こえてくる。

 登山道入口の立札から急に道は細くなる。 登山道の右手は長い間放置されていた耕作地 で、萩があたかも植え込まれたように、一面 に生えている。アキアカネなどアカネ類の群 飛が見事である。その間を縫うようにヒョウ モンチョウの仲間やクジャクチョウが飛ぶ。

 低木の間に混じるススキの葉陰からは、キ リギリスの声も聞こえてくる。

 登山路の左手は、クリ、コナラなどの雑木林

ホオジロ
ホオジロ

となり、エナガの小群、カケスの濁った声、 ヒヨドリの甲高い声なども聞かれる。

 時々低木の根元でカダコドと音がする、南 向きの日当りのよい場所なので、日向ぼっこ をしていたカナヘビが、我々を見てあわてて 逃げ込む音である。ヘビもいつ1m以上もあ ると思われるアオダイショウが、これは音も 立てずに繁みの中へもぐりこんでいった。

 ハギの群落を通りこすと道は次第に急坂と なる。下を見下すと谷の南斜面は丸坊主に伐 採された草地である。対岸の北斜面は川岸に 若干低木を残し、杉の植林が連なっている。

 登山路右の伐採地はかなり上部まで及んで いるが、途中にやや年を経た杉が二三本取り 残されたように生えているところに水場があ る。

 水場の周辺にはハギやススキなどが疎生し、 サワギキョウ、アケボノソウ、シダ類などの 生育するところとなっている。水場といって も地下から浸み出る直径50cm程の小さな水溜 りである。水を透してみて見ると、こんな所 にもサンショウウオが棲んでいる。落葉の上 に動かないでいるのは薄茶色のまだエラの残 るカスミサンショウウオお幼生である。

 水の中に手を入れると、あたふたと枯葉の


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