大熊町民話シリーズ第1号 民話 苦麻川-003/055page

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衛、お前は。」ハッタと藤兵衛をにらみつけた天狗は、ふわりと天井の煙出し孔に飛んだと思うと日隠山のかなたに飛び去りました。

藤兵衛が天狗の飯をたべた山を、そののち人々は一杯盛(いっばいもり)(森)と呼ぶようになりました。

天狗のおりたった杉野大木は天狗杉と名づけられて里の名物となり、天狗からもらった鹿笛は家宝として藤兵衛の家に伝わりました。

 

 《第二話》

  上の小屋・下の小屋

むかし。

苦麻川(くまがわ)に沿った北がわ一帯の台地は見渡すかぎりの原野で、身を没するような茅(かや)の生い茂るなかに、松やくぬぎの森があり、狐や狸(たぬき)や鹿などが多く住んでいました。

そして野上川のほとりや熊川の下流に沿って人々が住みつきました。

原野の上の方は野原の上手(かみて)だというので野上の里と呼ばれ、下の方は下手(しもて)だというので下の里


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