大熊町民話シリーズ第1号 民話 苦麻川-005/055page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

上の小屋・下の小屋

た二人はホット溜息(ためいき)をついて草むらの上に尻もちをつきました。

上の小屋の持金(もちがね)の方が一寸(いっすん)ほど多いことがわかりました。

にわかに曇った空を、はやなきの不如帰(ほととぎす)が血をはくような声で飛び去りました。小川のせせらぎが、さらさらと流れています。

しばらくのあいだヂットみつめあっていた二人の長者は、やがてどちらからともなくいざりよって手を握りあいつぶやきました。「つまらねい事だなあ……。」

それからあと、二人の長者は、力をあわせて里の開発にうちこみました。

二人が出会ったところは里の真中(まんなか)だったので野上村字中組(なかくみ)と呼ばれ野上の里開発の中心となり本村(もとむら)というようになりました。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は大熊町に帰属します。
大熊町の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。