大熊町民話シリーズ第1号 民話 苦麻川-012/055page
びこみました。
満開坊は、里人たちにお礼の言葉をのべて入棺し、釘打ちと土うめをたのみましたので、人々は、附近の石を拾い集めて蓋(ふた)を釘うちしたうえで土を覆いました。
土の中から、六地蔵の竹を通して満開坊の誦(ず)さむお経の声と鈴の音がきこえてきました。里の人達は、朝晩大桑の根方に来ては香花を手向け水をあげました。そして土の中からきこえてくるお経の声と鈴の音に合掌しました。満開坊が生きたまゝ土の中に入ってから二十一日たって、里人は、満開坊のお経も、鈴の音もきくことができなくなりました。
里の人々は、桑の根元にささやかな塚(つか)を築いて、満開坊の霊を弔(とむら)いました。そしてこの土地を満開と呼ぶようになりました。
《第六話》
助宗明神物語
助宗の家は、根本、志賀、猪狩家と共に岩城氏四殿の重臣であり比佐舘主(ひさかんしゅ)として、代々久の浜