大熊町民話シリーズ第1号 民話 苦麻川-020/055page

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「きっと、この近くに長者様の屋敷があったにちがいないっていうんでなあ、みんな血まなこになって捜しまわったが、とうとうみつからなかったとよ。」

親兵衛爺さんは、こんなに話してくれました。

 

 《第九話》

  落葉物語

むかし。

長者が原に、ある長者様がすんでいました。

長者様の田植えには何百人もの人々が駆り集められ、ただの一日で植え終るのが定(さだ)めになっていました。

その年もまた、近郷から集まった数百人の男女が朝早くから苗取(なえと)りにかかり、やがて田植踊りの笛や太鼓につれて早乙女(さおとめ)たちが一斉に田植えにとりかかりました。

長者様は、はるか北の丘の上に張りめぐらした幕(まく)のなかから「やあ、これは見事な眺めだわ


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