大熊町民話シリーズ第1号 民話 苦麻川-031/055page
す。
地方の人たちは高津戸城が落城してから、大根おろしのことを高津戸落(たかとおろ)しと呼ぶようになりました。
高津戸城跡は今もなお、大熊町と富岡町の境にまんじゅう形の小山を西にして東西にくっきりと静かな姿をみせています。
《第十四話》
酒屋のべいこ
牛(べいこ)、べいこ
酒屋のべいこに負(まあ)けんな。
里の子ども達が五〜六人、野草を喰(は)んでいる牛(べいこ)をとりまきながらはやしたてゝいます。
酒屋の牛は食べものもよく、酒かすなどもたべて丸々とふとっていたのです。
あるとき都路(みやこじ)の里の牛飼いが自慢の牛を追って野上の里にやってきましたが、酒屋の牛にけり