大熊町民話シリーズ第1号 民話 苦麻川-037/055page

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置申し上げて、秘(ひそ)かに信仰をつづけましたが、川内村からの捜さくが日一日とはげしくなって来たので、この上はお寺に納めてみんなで信仰しようと思いたち、磐城の国松の前のお寺に納め、時おりお詣しては信仰を続けました。

久四郎が一時御尊像を安置した巾四尺、高さ五尺、奥行き六尺の岩屋は今も静かな夏草のなかにたゝずまいをみせ、御尊像は本尊阿弥陀如来として、金色に輝やく御光(みひか)りを放っています。

 

 《第十六話》

  円澄和尚物語

むかし。

遍照寺というお寺に円澄(えんちょう)という狂歌のすきな和尚さんがおりました。

附近にすむ清兵衛はねっからの呑気者で、五月の田植時がきても仕事に精を出すこともなく毎日毎日ごろりと昼寝ばかりしていましたので、仲の良い和尚は早速、「農の五月に昼寝して、秋の俵(たわら)になにを清兵衛(入れべい)。」と狂歌を贈りました。


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