大熊町民話シリーズ第1号 民話 苦麻川-048/055page

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目ききする力のおかげだと喜びあった二人は、早速この湯の効能を世に広めようと話しあいながら、

寅王が

  玉林(ぎょくりん)の小金(こがね)の枝葉穂(ほ)に出でて
    行く末永く湧き出(いず)るかな

と詠めば、金五郎も

  陸奥(みちのく)の野上の山辺来てみれば
    小金(こがね)湯花咲くや三ツ森

と詠じ短冊に書いて湯の前に奉納し、神仏のお告げであるから急いで開発しようと、日を改めて大石をとりのぞき、山の中腹をうがって浴室をひらきました。

一方、金五郎は慶長二年三月八日(一五九七)から鹿ヶ峯の鉱山発掘にとりかかりましたが、なかなか採算がとれず、寅王にたのんで諏訪大明神の御示現を得たところ「鹿ヶ峯は三国一の金山であるが、妙見大師に忌(い)まれているので掘るのはむずかしい、時節が来れば取り授けてやるからあと百年もしたら掘る様に、国の政道にも従い神の恵も怠らない様に、これおら北の方に行けばよい。」との事でしたので、金五郎は寅王に三年来の礼をのべ、あなたはこれからのち、山号


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