大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 003/056page
《第二話》
昌玄塚 (熊町幼稚園庭)
むかしむかしの話です。
毎日毎日天気がつづいて雨はちっとも降りません。高台にある熊町の井戸には一滴の水もなくなりました。人々は熊川の底をチョロチョロ流れる水をくんできてごはんをたいていました。
たんぼにかける水もないので、稲は枯れてしまいます。百姓たちはどうすることもできません。
ある日、熊村、熊川村の人々が「かじや川原」に集まって何かよい方法はないかと相談しました。誰も名案がありません。部落の長老がいいました。
「みなの衆、ご存知の通りこの日でりでは米は一粒もとれんだろう。困った時の神だのみといわれるかも知れんが、これからみんなで雨ごいをしてはどうだろう。」と話しかけました。みんなは賛成しました。
早速用意をして一晩中お祈りをしましたが、空はさっぱり曇ってきません。朝になっても一滴の雨も降ってきません。
その朝、浜海道を北に向って歩いている一人の旅僧がいました。昌玄坊という坊さんでした。