大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 010/056page
三太郎はかまをとった。
「何する。」
「とぎます。」
「といでどうする。」
「どうもしません。士は刀を持っています。百姓はカマ持って悪いですか。チョット待って下さい。とぎますから。」
三太郎はゆっくりカマをとぎだした。指の爪で切れ味をみながら。そしてきれるカマをわらでくるんだ。そして家の中でふるいている女房に大きな声で叫んだ。
「カカア、ゆくぞ。あとはたのむ。」
門口を出ると士はいった。
「三太郎、お前はりっぱだ。あとはおれがとりなす。」
といってトットと帰っていった。