大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 018/056page
しくのです。これをくり返しくり返しして夜のしらむころ、五郎四郎の地につきました。ゴザはボロボロになってしまいました。
当時五郎四郎の地は一面の林でした。家は一軒もありませんでしたが鳥やけものが住んでおり、四季折々の花も咲いていました。
二人はここに小屋をつくり、貧しくも幸せな日を送っていました。何年かたって、この付近にも人々が住みつき、たんぽも畑もできました。人々は病人があれば薬をもらい、困ったことがあると相談に行きました。農閑期になると仏さまの話なども聞かせてくれました。みんなの心のよりどころとなったこの坊一もふとした病がもとでなくなり、間もなく女も死んでしまいました。
近所の人々はねんごろに弔い、あらと沢(郡山付近)から二つの石を運んできて、住んでいた所に墓をたててくれました。