大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 019/056page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

 《第九話》

  火のみ塚 (夫沢)

長者原に「火の見塚」という塚が畑の中に残っています。「火を見る塚」がいつのまにか「火の見塚」になったのです。

むかし偉い人が死ぬと塚をつくりました。その中には死んだ人とその人の持っていた宝物が葬られたのでした。エジプトのピラミッドも奈良の大きな古墳もみんな同じです。

それで塚はドロボーに掘られて宝物が盗まれました。

長者原に佐助というドロボーが住んでいました。彼は塚から宝物を盗もうと、真っ暗い夜ひとりで塚を掘り出しました。一時間も掘った頃、汗をふきながら後をふりむくと、自分の家が燃えていました。彼は道具をすててかけ出しましたが、五分もたたないのに腰がぬけてしまって歩くこともできません。近所の人たちが集まって火を消そうとしましたが水の便も悪く家はやけてしまいました。佐助はどこにいるだろうと探しますと、道路わきに腰をぬかしていました。みんなは馬鹿な佐助だ、仏様のバチがあたったんだとあざけりました。

この話を聞いた甚三はそんなことあるもんかと思って、火の始末をきちんとして、ある暗い晩


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は大熊町に帰属します。
大熊町の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。