大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 020/056page

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ひとりで塚を掘りました。はじめは一くわ毎に家の方をふりむきましたが別に変わりありません。もう一息と一生けんめいくわをふるっているうち、ふと見ると煙が一すじ立っていました。これはしまったと一目散に走ってゆきましたが家は焼けてしまいました。

それから何十年かたちました。五助は何か金もうけをしたいと思ってオシメ様におがんでもらうと、近くの塚に干両箱が五つも入っていると聞いてびっくりしました。昔から火の見塚といって恐ろしい塚を掘ることはできない,しかしすばらしい干両箱をあきらめることもできません。

五助は家の人に番をたのんで塚を掘りました。何回見ても煙はあがりません。彼は宝物のことよりも火事が心配でなりません。

彼はとうとう毒気にあたったのかその場に倒れてしまいました。その後五助の家も焼けてしまいました。長者原の人たちは今も火のみ塚を恐れて掘る人はおりません。


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