大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 023/056page
しくなっていたのです。でもサユシュ様の決心はゆるぎません。
「仏様は必ず見守って下さる。私のいない間は嘉助が私の代役をつとめる。みんなで準備をして待っていてくれ。」
とたのんで加賀の国へ旅立ちました。
里人は焼山の地の木を伐り払い、附近をすっかり焼き払い、材料を揃えてサユシュ様の帰るのを待っていました。
しかしサユシュ様は一年たっても帰って来ません。二年たっても、三年たっても。とうとう帰って来ませんでした。
里人は小声で話し合いました。サユシュ様は役人に捕えられて殺されたのだろうと。
みんなは心の中に決心しました。サユシュ様の心を忘れずに信心しよう。そして一生けんめい働こうと。