大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 031/056page

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いわれ、そこを今でもヒメブチといいます。

 

 《第十五話》

  地蔵坂の鬼ばばあ (大川原)

むかし、むかし。

大川原の坂道の四つ角に地蔵様がたっていました。そのがけ下に小さな長い長い穴があいていました。その昔、金を掘った穴だといわれていましたが、中に入った人はいませんでした。

その穴の向う側は谷間になって小川がさらさらと流れ、春になるときれいな花が咲き乱れました。そこに一人のババアが住んでいましたが、昼は穴の中に住んでいるので誰も見た人はありません。

そのババアは風のあるタ方こんな歌を歌うのでした。

「米とぎましょか、人喰いましょか、ザックザック、ザックザック。」

でも村の人には聞こえません。ただ風のまにまに、ザックザックと聞こえました。人々は別に


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