大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 042/056page

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信仰がうすいといわれた熊五郎ですが、野上如来寺(にょらいじ)にあったという、すばらしい鐘を持っていたのです。その鐘には次のように書かれてあります。

安永八巳亥二月吉日奥州仙台勇太夫尉 源正国 神光二而名切。

意味はよくわかりませんが、今から二〇八年前のものです。

 

 《第二十一話》

  戊辰戦争余話 (下野上)

野上には相馬藩の兵が守っていた。これを攻めようと官軍は熊町を朝早く出て大和久から野上に向った。あたりは荒れた原野、その中に三軒の農家があった。その真ん中に「ナカ」という若いお嫁さんがいた。

慶応四年七月二十八日、ナカは誕生すぎたばかりの初五郎を遊ばせながらアンをつくっていた。

なべを下して外の仕事をしているうち、初五郎はアンのなべに転んでしまった。子どもの泣き声にびっくりしたナカはいそいで着物をぬがせて水で洗ってやったが、子どものやわらかい膚(はだ)は


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